理化学研究所 創発物性科学研究センター (CEMS)
量子多体ダイナミクス研究ユニット

研究内容

量子多体系の理解は、現代テクノロジーの発展に貢献してきました。更なる新物質開発や量子情報処理技術の進展のためには、これまでの平衡状態を主とした研究だけではなくダイナミクスの研究も重要となります。 当研究ユニットでは、極低温原子気体を用い、量子多体系の非平衡ダイナミクスの研究に取り組みます。極低温原子実験の特徴として、システムがシンプルであることとパラメーターや次元を容易に制御できることが挙げられます。特に、量子気体を光で作られた周期的なポテンシャル(光格子)中に導入した系は、強相関物理において重要なモデルを形成し、また量子情報処理の基盤としても役に立ちます。この系を用い、実時間・実空間でダイナミクスを測定し理解を深めるとともに、ダイナミクス制御の検証実験を行っていきます。

極低温原子気体
原子気体に対して、制御されたレーザーを照射すると原子を冷却することができます。これがレーザー冷却と呼ばれるもので、1997年のノーベル物理学賞の対象となっています。この技術を用いると、原子気体をマイクロケルビンという非常に低温にすることができます。
光格子
原子に非共鳴な光を照射すると、光の強度に比例した「器」を原子に対して作ることができます。これを用いて原子を捕獲する方法を光トラップと呼びます。レーザーを対向して照射すると、光の定在波が形成され、光の強いところ弱いところが周期的に現れます。つまり、これを用いることで周期的な構造の中に原子を閉じ込めることができるのです。固体(周期的な構造である結晶格子の中に電子という粒子があるという見方のできるもの)との類似から、光格子と呼ばれています。
Optical Lattice